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川口市芝地区で防災講座の講師を務めました。
📌2026年10月17日(土)、埼玉県川口市の芝南公民館にて開催された「芝地区防災講座」に、防災士として講師を務めさせていただきました。

今回は、芝地域包括支援センター様からご依頼をいただき、
『知って備える!今日からできる暮らしの防災』
をテーマに、計60分間の講義を行いました。
当日は、芝地域包括支援センターの職員の皆様のほか、民生委員、市議会議員、地域住民の方々など、計23名にご参加いただきました。
今回の講義では、ケアパワーラボで公開している「要介護者がいる家庭の防災ガイド|在宅介護・高齢者世帯の備えと避難の判断」の内容をベースに、日常生活の中で取り組める防災対策についてお話ししています。
講義の後には、参加者の皆様にオリジナルの「防災メモ」を作成していただき、さらに芝地域包括支援センター様の進行によるグループワークも実施されました。
今回、特に印象に残ったのは、参加された皆様の防災に対する意識の高さと、地域で暮らすからこそ見えてくる具体的な課題です。
在宅避難中の支援物資の受け取り方、高齢者への災害情報の伝達方法、そして自助・共助・公助の連携など、今後の地域防災を考えるうえで非常に重要な意見が数多く挙がりました。
防災は、一人ひとりの備えだけで完成するものではありません。
地域に暮らす人たちが、お互いの状況や困りごとを知り、地域の特性に合った防災を育てていくこと。

今回の講座を通じて、その重要性を改めて感じました。
「知って備える!今日からできる暮らしの防災」をテーマに講義

今回の防災講座では、災害の基本的な知識と日々の暮らしの中で無理なく始められる防災対策を中心にお話ししました。
- 水害の仕組みと、外水氾濫・内水氾濫の違い
- 警戒レベルと避難するタイミング
- 避難所と避難場所の違い
- 在宅避難や垂直避難など、状況に応じた避難方法
- 地震に備えた家具の固定と寝室の安全対策
- 災害時に役立つ公衆電話や災害用伝言ダイヤル
- 災害直後を乗り切るための家庭での備蓄
講義では、私自身が経験した浸水被害の写真なども交えながら、災害をできるだけ身近な問題として考えていただけるよう心がけました。
🔻防災というと、
- 非常食
- 防災グッズの準備
を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、それだけでは十分ではないんですね。
🔻自分が住んでいる地域には
- どのような災害リスクがあるのか
- どのタイミングで避難するのか
- 避難が難しい場合にはどうするのか
こうしたことを、災害が起こる前に考えておくことが重要です。
意外と知られていない「避難所」と「避難場所」の違い
講義の中で、参加者の皆様が特に驚かれていたのが、「避難所」と「避難場所」の違いについてです。
- 避難場所:災害の危険から命を守るために緊急的に逃げる場所
- 避難所:災害で在宅生活が困難になった方などが、滞在して生活する場所

名称は似ていますが、それぞれ役割が異なります。
今回の説明を通じて、初めて具体的な違いを知ったという反応も見られました。
また、「避難すること」と「避難所に行くこと」は、同じ意味ではありません。
自宅の安全が確保できる場合の在宅避難や、安全な親族・知人宅への避難など、災害の種類や自分の状況によって避難方法は変わります。
📌まずはハザードマップを確認し、自分にとって安全な避難方法を事前に考えておくことが大切です。
学んだことを自分の備えにつなげる「防災メモ」づくり

約50分間の講義後には、参加者の皆様に「防災メモ」を作成していただきました。

これは、講義で得た知識をそのまま覚えていただくだけではなく、自分自身の暮らしに合わせた防災対策として書き残していただく取り組みです。
家族構成や住環境、身体の状態、生活習慣などは人によって異なります。
そのため、防災対策も全員が同じでよいとは限りません。
自分に必要な備えは何か。今日から何を始められるのか。
一人ひとりが考え、自分だけの防災メモにまとめることは、防災を「知識」から「行動」へ変える第一歩になると考えています。
防災メモは、ご自身やご家族の状況に合わせて、災害時に必要な情報や備えを整理するためのものです。
✅実際に講座で活用した防災メモは、以下から無料でダウンロード・印刷できます。
グループワークで見えてきた地域防災の課題
防災メモの作成後は、芝地域包括支援センター様の主催によるグループワークが行われました。
テーマは、これから自分たちがどのような防災対策に取り組んでいくかというものです。
参加者の皆様が、それぞれの暮らしや地域の状況を踏まえて意見を交わされました。
その中で浮かび上がってきたのは、個人の努力だけでは解決が難しい、地域防災の課題でした。
課題① 在宅避難をした場合、支援物資はどう受け取るのか?
今回、特に関心が高かったのが「在宅避難」と「支援物資の受け取り」に関する問題です。
事前質問としても、次のような疑問が寄せられていました。
在宅避難をしている場合、水や食料などの支援物資は、指定避難所まで自分で取りに行かなければならないのでしょうか?
近年、自宅が安全であれば
『在宅避難を選択する』
という考え方が広まっています。
しかし、実際に在宅避難を選んだとき、支援物資をどのように受け取るのかという問題は、十分にイメージできていない方も少なくありません。
仮に避難所などが物資の受け取り拠点になった場合、そこまで自力で移動できる方ばかりではありません。
高齢者や身体の不自由な方、移動手段のない方などは、どのように支援物資を受け取ればよいのでしょうか。
また、避難行動要支援者名簿などの仕組みがあっても、実際の災害時にどこまで支援につなげられるのか、不安を感じる声もありました。
こうした問題は、単に「各家庭で備蓄をしましょう」という話だけでは解決できません。
もちろん、支援がすぐに届かないことを想定して、普段から水や食料、生活用品を備蓄することは大切です。
一方で、備蓄が不足した場合や、物資を受け取りに行けない方への支援については、地域と行政が連携して考えておく必要があります。
📌「在宅避難を推奨すること」と「在宅避難を続けられる環境を整えること」は、セットで考える必要がある。
今回のグループワークで、特に考えさせられた課題の一つです。
課題② スマートフォンを使えない高齢者に、災害情報をどう届けるのか?
もう一つ、多くの関心が寄せられたのが、災害時の情報伝達についてです。
現在、自治体のホームページや公式LINEなど、スマートフォンを活用すればさまざまな防災情報を得られるようになっています。
しかし、すべての方がこうした情報を利用できるわけではありません。
高齢者の中には、スマートフォンを持っていない方や、公式LINEなどの登録・操作が難しい方もいます。
また、防災行政無線についても、放送内容が聞き取りにくいという問題が挙げられました。
災害時には、情報を知ることが避難行動の第一歩になります。
その情報が必要な人に届かなければ、避難の判断が遅れてしまう可能性もあります。
これは、個人がスマートフォンの操作を覚えるだけで解決できる問題ではありません。
地域での声かけや見守り、複数の情報伝達手段の確保、そして行政による情報提供の仕組みづくりなど、自助・共助・公助を組み合わせた対策が必要だと感じました。
特に、災害情報を自分から取りに行くことが難しい方に、どうやって確実に近い形で情報を届けていくか。
この視点は、今後の地域防災において非常に重要だと思っています。
✅なお、2026年5月に実施した戸塚西地域包括支援センター様主催の高齢者防災講習でも、民生委員の皆様とのグループワークを通じて、地域の防災課題について意見交換を行いました。
▶ 戸塚西地域包括支援センターでの高齢者防災講習の様子はこちら
自助だけでは解決できない。共助と公助をどう育てるか
今回の私の講義では、家具の固定や備蓄、避難方法の確認など、主に「自助」を中心とした内容をお伝えしました。
自助とは、自分自身や家族の命を守るために、日頃から備えることです。
しかし、実際の災害では、自助だけで対応できないことが数多くあります。
🔻そこで重要になるのが、
- 地域で支え合う「共助」
- 行政などによる「公助」
です。
今回のグループワークを通じて、町内会などの地域単位で、それぞれの環境に合った防災対策を考えていくことの重要性を感じました。
🔻例えば
- 地域にはどのような困りごとを抱える方がいるのか
- 災害時に支援物資を受け取りに行けない方がいたら、地域では何ができるのか
- 避難情報を受け取りにくい方への声かけを、どのように行うのか
こうした課題を地域で話し合い、自分たちでできることを考える。
そして、地域だけでは解決できない部分については、行政に課題や要望を伝え、必要な支援や仕組みづくりにつなげていく。
自助・共助・公助は、それぞれが独立しているのではなく、互いを補い合うことが重要です。

今回の講座では、参加者の皆様からそのことを改めて教えていただいたように感じます。
グループワークの価値は、話し合いの内容だけではない
今回、私が特に大きな価値を感じたのは、グループワークそのものです。
同じ地域に暮らす人たちが顔を合わせ、言葉を交わすことで、お互いを知るきっかけになります。
さらに、一人で考えているだけでは気づかなかった悩みや不安を知ることもできます。
特に高齢者の防災については、本人がどのようなことに困っているのか、何に不安を感じているのかを、実際に聞かなければ分からないこともあります。
防災の仕組みを整えることはもちろん大切です。
しかし、その仕組みを必要とする人の声を聞き、お互いの存在を知ることも同じくらい大切ではないでしょうか。
災害が起きてから初めて助け合うのではなく、平常時から顔の見える関係をつくっておくこと。
(⇒共助のきっかけになります)
今回のグループワークは、その第一歩として非常に意義のある時間だったと感じています。
今後は地域住民と行政が一緒に防災を考える機会を
今回のグループワークは、芝地域包括支援センターの職員の皆様と参加者の皆様を中心に行われました。
今後は、こうした場に防災担当部署などの行政職員にも参加していただき、地域住民と行政が直接意見を交わせる機会が増えると、さらに有意義な取り組みになるのではないかと感じています。
在宅避難者への支援物資の配布体制や、災害情報の伝達方法などは、地域の力だけですべてを解決できるものではありません。
地域の実情を知る住民の声と、制度や支援体制を担う行政の取り組みが結びつくことで、より実効性のある防災につながっていくはずです。
また、話し合いで見えてきた課題を、その場限りで終わらせないことも重要です。
課題を共有し、必要な対策を考え、地域や行政につなぎ、次の機会に進捗を確認する。
そうした積み重ねによって、地域防災は少しずつ育っていくのだと思います。
地域防災に、全国共通の正解はない
地域によって、災害リスクも、住んでいる人たちの年齢構成も、住宅環境も異なります。
高齢者が多い地域、集合住宅が多い地域、河川の氾濫や内水氾濫に注意が必要な地域など、それぞれの事情があります。
だからこそ、すべての地域に同じ防災対策を当てはめるのではなく、その地域の特性に合った防災を考えることが重要です。
住民の皆様が主体となって話し合い、そこに専門職や行政が関わりながら、地域独自の防災の形をつくっていく。(共助⇒公助)
私は、こうした取り組みこそが、これからの地域防災に必要なのではないかと感じています。
まとめ|防災は「知ること」から「地域で育てること」へ
今回の芝地区防災講座では、参加者の皆様の防災に対する関心の高さと、地域ならではの課題を知ることができました。
60分間の講義でお伝えしたのは、日頃の暮らしの中でできる防災対策です。
その後の防災メモづくりでは、学んだことを自分自身の備えとして考えていただきました。
そしてグループワークでは、個人の備えだけでは解決できない課題について、地域の皆様が意見を交わされました。
私は今回、講師としてお伝えする立場でしたが、参加者の皆様から学ばせていただくことも非常に多い一日となりました。
防災は、一度講義を受けたり、話し合ったりして終わるものではありません。
今日の気づきを行動につなげ、地域で共有し、必要な仕組みを考え続けること。
そして、地域に暮らす一人ひとりの声を大切にしながら、その地域に合った防災を育てていくこと。
そうした積み重ねが、いざというときに命と暮らしを守る力につながると考えています。
開催概要
開催日:2026年(令和8年)10月17日(土)
講座名:芝地区防災講座
講義テーマ:知って備える!今日からできる暮らしの防災
会場:埼玉県川口市 芝南公民館 3階
依頼元:川口市芝地域包括支援センター
内容:防災講義(約50分)、防災メモ作成、グループワーク
防災教室について
地域包括支援センター等にて、
要介護者の家族・高齢世帯を対象とした防災教室を実施しています。
🔻無料防災教室の申し込みはこちら
✅ 災害時に介護が必要な方をどう守るか、実践的に学べる内容です。
▶︎ 要介護者の家族向け防災教室申し込み詳細について
本記事の内容は、
実際に地域包括支援センターで行っている防災教室の内容をもとに整理したものです。
教室後に、
・参加できなかったご家族
・あとから内容を見直したい方
が確認できる 『振り返り資料』 として、本記事をご案内しています。
※地域包括支援センター等の活動報告・住民向け案内として、
本記事へのリンク掲載はご自由に行っていただけます。
✅ 訪問介護向けBCP研修
▶︎【防災士が解説】訪問介護のBCP研修・訓練|義務化に対応した備えと対応の考え方(研修資料として使えます) – ケアパワーラボ
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