【印刷可】訪問看護で守る個人情報とプライバシー|注意したい場面と具体的な対策

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訪問看護では、利用者の病状や治療内容だけでなく、家族構成や生活環境など、生活全体に関わるさまざまな情報を扱います。

これらは、適切な支援を行うために欠かせない大切な情報です。

一方で、訪問先は利用者の生活の場です。病院とは異なり、

  • 玄関先や集合住宅の共用部分での会話
  • 家族や主治医、ケアマネジャーなどとの情報共有
  • 書類やスマートフォンなどの持ち運び

といった、訪問看護ならではの場面でプライバシーへの配慮が求められます。

この記事では、訪問看護で注意したい個人情報やプライバシーの取り扱いについて、現場で起こりやすい事例と具体的な対策を交えながら解説します。

✅ 日々のケアはもちろん、事業所内の研修資料としてもご活用ください。

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訪問看護で扱う個人情報とプライバシー

訪問看護のサービスでは、利用者の自宅を訪れ、療養生活を支援します。

利用者が安心してサービスを受けるには、適切なケアだけでなく、個人情報とプライバシーを守る姿勢も欠かせません。

🔒日頃から情報の扱い方を確認し、事業所全体で共通認識を持つことが大切です。

訪問看護で扱う個人情報とは

【個人情報】

その情報から「誰のことか」が分かるものをいいます。

🔻たとえば、

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 電話番号
  • 顔写真

などがあります。

また、ほかの情報と組み合わせることで本人を特定できるものも、個人情報に含まれます。

【個人識別符号こじんしきべつふごう】

その情報だけで本人を識別できるものとして定められた番号やデータです。

🔻たとえば、

  • マイナンバー
  • 運転免許証番号
  • パスポート番号
  • 指紋や顔認証に使われるデータ

などがあります。

【要配慮ようはいりょ個人情報】

特に慎重な取り扱いが必要な個人情報です。

🔻訪問看護では、

  • 病歴
  • 診療や治療に関する情報
  • 障害に関する情報
  • 身体や精神の状態

などを扱うことがあります。

✅これらは、不当な差別や偏見などにつながらないよう、特に配慮が必要です。

🔒家族や知人などについて聞いた内容も、その人を特定できる場合は個人情報になることがあります。

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プライバシーとは

【プライバシー】

他人に知られたくないことや、立ち入られたくない生活上の領域のことです。

🔻たとえば、

  • 家の中の様子
  • 家族との関係
  • 身体を見られること
  • 私物に触れられること

などがあげられます。

個人情報とプライバシーの違い

個人情報
→「誰の情報か」が分かるもの

プライバシー
→「どこまで知られたり、立ち入られたりしてよいか」に関わるもの

個人情報とプライバシーの違いを、具体例とともに説明した図。

訪問看護で大切なこと

訪問看護では、個人情報を外部へ漏らさないだけでは十分ではありません。

利用者の生活空間に入る立場だからこそ、プライバシーを意識し

  • 説明する。
  • 声をかける。
  • 意思を確認する。

ことが大切です。

🔒『業務に必要だから』と当然のように行動せず、利用者の気持ちや生活上の境界にも配慮しましょう。

訪問看護で情報漏えいが起こりやすい理由

訪問看護では、利用者宅と事業所の間を移動しながらサービスを提供します。

そのため、事業所内だけで業務を行う場合に比べ、さまざまな場面で個人情報を取り扱うことになります。

🔻情報漏えいにつながりやすい主な場面

  • 記録用紙やスマートフォン、タブレットなどを持ち運ぶとき。
  • 利用者宅や玄関先、集合住宅の共用部分などで会話するとき。
  • 電話やメール、SNSなどで情報をやり取りするとき。
  • 家族や主治医、ケアマネジャーなどに情報を伝えるとき。

こうした場面では、相手や場所、伝える内容によって、意図せず個人情報が漏れてしまう可能性があります。

🔒情報共有の基本:『誰に』『何のために』『どこまで伝えるのか』を確認してから情報を共有しましょう。

個人情報を取り扱う際の基本ルール

訪問看護では、必要な支援を行うための情報であっても、自由に収集したり共有したりできるわけではありません。

✅利用目的や共有範囲を確認し、適切に取り扱うことが大切です。

利用目的を明確にする

個人情報は、業務に必要な範囲で取得することが基本です。

🔻特に、次の点に注意しましょう。

  • 「念のため」という理由で、必要以上の情報を集めない。
  • 本来の目的とは異なる用途に使用しない。
  • 利用者に、どのような目的で情報を使用するのか分かりやすく説明する。

本人の同意と情報共有の範囲を確認する

訪問看護では、家族や主治医、ケアマネジャーなどと情報を共有する場面があります。

家族への情報共有:


家族だからといって、すべての情報を伝えてよいわけではありません。


✅本人が「誰に」「どこまで」情報を伝えることを望んでいるのかを確認することが大切です。

多職種との情報共有:


主治医やケアマネジャーなどとの連携では、支援に必要な範囲に限って情報を共有することを意識します。


✅必要以上の情報まで伝えないよう注意しましょう。

守秘義務は退職後も続く

業務上知り得た利用者の情報は、職場を離れたあとも慎重に扱う必要があります。

🔻特に、次のような行為は避けましょう。

  • 家族や友人との会話で利用者について話す。
  • SNSに利用者に関する情報を書き込む。
  • 個人が特定されなくても、利用者を推測できる内容を話したり投稿したりする。

利用者の情報は「仕事中だけ守ればよいもの」ではありません。

🔒勤務時間外であっても、守秘を意識して行動することが大切です。

訪問看護で注意したい場面と具体的な対策

訪問看護では、利用者の自宅という生活の場で支援を行います。

病院とは異なり、家族や近隣住民など、周囲にさまざまな人がいる環境で対応することもあります。

そのため、何気ない会話や行動から利用者の情報が伝わらないよう、場面に応じた配慮が必要です。

ここからは、訪問看護で特に注意したい場面と、具体的な対策を確認していきます。

利用者宅や玄関先での会話

避けたい対応

玄関先や集合住宅の廊下で、病名や処置内容について話す。

適切な対応
  • 病状や治療内容などは、室内に入ってから話す。
  • 周囲に人がいる場合は、声の大きさや話す内容に配慮する。
  • 必要に応じて、落ち着いて話せる場所へ移動する。

処置や身体介助を行うとき

避けたい対応

十分な説明をせずに身体へ触れたり、必要以上に肌を露出させたりする。

適切な対応
  • 処置や介助の前に、これから何をするのかを説明する。
  • 本人の同意を確認してから行う。
  • 扉やカーテンを閉めるなど、周囲から見えない環境を整える。
  • 身体の露出は、必要最小限にする。

利用者の私物や生活空間に触れるとき

避けたい対応

本人の承諾を得ず、引き出しや戸棚、郵便物などを確認する。

適切な対応
  • 支援に必要な場合でも、まず目的を本人に説明する。
  • 「確認してもよいですか」などと声をかけ、了解を得てから触れる。
  • 利用者宅は、本人の生活の場であることを意識する。

✅利用者の意思や生活上の境界を尊重することは、プライバシー保護だけでなく、ハラスメントを防ぐうえでも大切です。
➤ 関連記事:訪問看護のハラスメント研修|カスハラ・セクハラ対策

書類や訪問バッグの管理

訪問看護では、利用者の情報が記載された書類を持ち運ぶことがあります。持ち出す書類は必要なものに限り、紛失や置き忘れを防ぐことが大切です。

🔻特に注意したいポイント

  • 車内や訪問先に書類を置き忘れない。
  • 訪問バッグは、常に所在を確認できる場所に置く。
  • 複数の利用者の書類を取り違えない。

✅複数の利用者宅を訪問する場合は、訪問前後に氏名や書類の内容を確認する習慣をつけましょう。

スマートフォンやタブレットの使用

スマートフォン・タブレットの使用

訪問記録や連絡のため、スマートフォンやタブレットを使用する事業所も増えています。便利な一方で、紛失や盗難、第三者による閲覧などには注意が必要です。

🔻端末を使用するときのポイント

  • パスコードや生体認証を設定する。
  • 紛失・盗難時の対応を含め、事業所の管理ルールを守る。
  • 私物の端末に利用者情報を保存しない。
  • 写真や動画を撮影する場合は、事業所の規定と本人の同意を確認する。

✅端末そのものだけでなく、中に保存されている利用者情報を守る意識を持つことが大切です。

電話・メール・SNSでの情報共有

電話やメールで利用者について連絡する場合は、相手と伝える内容を確認してから情報を共有することが基本です。

🔻特に注意したいポイント

  • 電話:周囲に人がいないか確認し、相手を確かめてから話す。
  • メール:宛先や添付ファイルを、送信前にもう一度確認する。
  • SNS:氏名がなくても、写真・地域・病状などから本人が推測される内容は投稿しない。

✅SNSは不特定多数の人が見る可能性があります。「名前を書いていないから大丈夫」と考えず、個人が特定・推測される情報を載せないことが大切です。

家族や多職種への情報提供

訪問看護では、家族や主治医、ケアマネジャーなどとの情報共有が欠かせません。
ただし、支援に関わる人であっても、すべての情報を共有する必要があるとは限りません。

🔻情報を伝えるときのポイント

  • 多職種へ:支援に必要な範囲で情報を共有する。
  • 家族へ:本人が「誰に、どこまで伝えてよいか」を確認する。

特に家族への情報提供では、「家族だから伝えてよい」と決めつけないことが大切です。本人の意向や家族との関係を確認しながら、慎重に対応しましょう。

看護師として感じた訪問看護特有の難しさ

病院は医療を提供する場所ですが、訪問看護では利用者の生活の場に入って支援します。この違いは、プライバシーを考えるうえで重要なポイントです。

訪問先では、本人だけでなく同居する家族への配慮も必要です。家族との関係が良好であっても、本人の情報をすべて伝えてよいとは限りません。

また、訪問車両や制服、玄関先での会話などから、近隣の人に訪問看護を利用していることが伝わる可能性もあります。

「何を話すか」だけでなく、「どこで、どのように行動するか」まで意識することが大切です。

迷ったときは、一人で判断しない

「この情報を伝えてよいのだろうか」と迷った場合は、自己判断せず、管理者や事業所内で確認・相談しましょう。

✅利用者の自宅は、私たちにとっては「訪問先」でも、利用者にとっては大切な生活の場です。その生活の場にお邪魔して支援しているという意識を持つことが、プライバシーを守る基本です。

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個人情報の漏えい・紛失が起きたときの対応

個人情報の漏えいや紛失に気づいた場合は、まず管理者へ速やかに報告することが基本です。

そのうえで、状況に応じて必要な対応を行います。

  • 書類や端末を紛失した場合:最後に確認した場所や移動経路を確認する
  • メールを誤送信した場合:可能であれば、送信先へ削除を依頼する
  • 情報漏えいが疑われる場合:被害が広がらないよう、事業所の手順に沿って対応する

管理者は、事実関係や影響範囲を確認し、必要に応じて本人への説明や、自治体・関係機関への報告を行います。

あわせて、いつ、どのような情報が漏えいしたのか、対応の経過を記録しておくことも大切です。

🔒大切なのは、個人で判断して隠さないことです。
まず管理者へ報告し、事業所の手順に沿って対応しましょう。

日頃から確認したいチェックリスト

  • 必要以上の情報を持ち出していない
  • 書類や端末を車内へ放置していない
  • 会話が周囲に聞こえていない
  • 送信先と添付ファイルを確認した
  • 家族への共有について本人の意向を確認した
  • 多職種へ伝える情報を必要な範囲に限定した
  • 写真や動画の撮影について同意を得た
  • 私物端末や個人SNSを業務に使用していない
  • 紛失や誤送信時の報告手順を理解している

ほかにも研修資料がありますのでご利用ください。

研修資料一覧はこちら

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まとめ

訪問看護では、病状や治療内容だけでなく、家族構成や生活環境など、利用者の生活全体に関わる情報を扱います。

そのため、個人情報を適切に管理することはもちろん、本人が知られたくないことや、生活空間への配慮も欠かせません。

日頃の会話や書類の管理、端末の取り扱いなど、小さな行動を見直すことがプライバシー保護につながります。

判断に迷ったときは一人で抱え込まず、管理者や事業所内で確認しましょう。定期的に研修やルールの見直しを行い、事業所全体で共通認識を持つことが大切です。

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参考資料

・個人情報保護委員会・厚生労働省
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」
訪問看護ステーションも対象に含まれている公式ガイダンス。現在掲載されているものは令和8年4月一部改正版。 

・個人情報保護委員会・厚生労働省
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」に関するQ&A(事例集)
現場での取り扱いを具体的に確認するための公式Q&A。

© ケアパワーラボ

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Mog
Mog

・看護師として通算22年勤務し、急性期・慢性期・終末期の看護を経験
・透析、精神科、療養型病棟など、専門性の異なる領域で勤務
・訪問看護ステーションでは、在宅療養を支える看護に従事
・介護福祉士養成校や実務者研修で、医療・介護分野の講師を経験
・臨床と教育の両方に携わってきた経験を活かし、現場で実践しやすい情報発信を行っている

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監修:ぽっか(ケアパワーラボ介護福祉研究所所長)

資格 主任ケアマネ・社会福祉士・鍼灸師・食品衛生管理責任者・防災防火管理責任者・防災士

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