【研修報告】介護サービスで出会う8050問題と対応の基本|広島県三次市合同研修会

※本ページはプロモーションが含まれています。ご了承ください。

居宅介護支援事業所・地域包括支援センター合同研修会

2026年10月23日(金)、広島県三次市の社会福祉法人 三次市社会福祉協議会 三次地域包括支援センター様からご依頼をいただき、「令和8年度 居宅介護支援事業所・地域包括支援センター合同研修会」に、Zoomによるオンライン講師として登壇しました。

広島県三次市で開催された8050問題に関する合同研修会。ケアパワーラボ代表としてZoomを通じてオンライン講義を行っている様子。画面には講師本人の映像が映っている。
8050問題について本人や家族から相談を受けた経験を問いかける研修スライド。Zoomを通じて介護・福祉関係者に講義を行っている様子。

研修テーマは、『介護サービスで出会う8050問題と対応の基本』です。

研修には、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターのケアマネジャーをはじめ、社会福祉士、保健師、看護師、広島県・三次市役所の職員、社会福祉協議会、障害者支援センターなど、さまざまな職種・関係機関から計40名が参加されました。

前半は8050問題の理解や介護現場での対応について講義を行い、後半は専用の事例を用いて8グループに分かれて検討していただきました。

介護現場で出会う8050問題

広島県三次市で開催された8050問題に関する合同研修会の会場風景。介護・福祉・行政などの関係者40名が参加し、Zoomによるオンライン講義を受講している様子。
Zoomによる8050問題研修の会場の様子

8050問題では、高齢の親への介護サービスを通じて、同居する中高年の子どものひきこもりや生活困窮など、世帯全体の課題が見えてくることがあります。

しかし、本人や家族から直接相談があるとは限りません。

今回の講義では、「相談がない=問題がない」ではないことを一つの重要な視点として取り上げました。

また、ひきこもりの背景には、就労や健康、家族関係、社会的な孤立など、さまざまな要因が重なっていることがあります。

支援者が早く本人と会いたい、相談機関につなげたいと考えても、その思いを急いで伝えることで、本人の不安や警戒が強まることもあります。

本人や家族の心理を理解しながら、今できる支援を考え、必要なときに関係機関へつなぐことの大切さをお伝えしました。

✅介護現場で出会う8050問題について、実際の支援事例を交えながら、現場での気づきや関わり方を以下の記事にまとめています。

▶ 介護サービスで出会う8050問題と対応の基本

実際の支援事例から考える

講義の中では、私自身が関わった支援事例を一部加工して紹介しました。

80歳の母親と52歳の長男が同居する世帯で、母親の年金を中心に生活していました。

生活困窮がうかがわれる状況でしたが、本人たちは「まだ大丈夫」と話しており、必要な支援につながらない状態が続いていました。

その後、母親が肺炎で入院したことをきっかけに、医療相談員や生活福祉の担当者と連携し、生活保護の申請につながっています。

この事例を通して伝えたかったのは、「見守る=何もしないことではない」ということです。

すぐに支援につながらなくても、日頃から生活状況を把握し、関係づくりを続け、状況が変化したときに動ける準備をしておくことが重要です。

また、支援が進まないときには、時間・場所・関わる人を変えることで、状況が動き出す場合があることについてもお話ししました。

グループワークでは別の事例を検討

講義の後は、グループワーク専用の事例を使い、会場の参加者が8グループに分かれて話し合いました。

今回用意したのは、『70代後半の父親と40代後半の長女が二人で暮らしている世帯』

父親は要介護3で、訪問介護と看護サービスを利用しています。

長女は長期間就労しておらず、外出や他者との交流もほとんどありません。ケアマネジャーは長女に会ったことがなく、父親の医療・福祉・相談機関とのつながりも不明な状況です。

母親は8年前に亡くなっており、生活は父親の年金によって成り立っています。

そのような中、父親に末期がんが見つかり、余命6か月と告げられました。

父親は、「自分がいなくなった後の娘が心配」と話している想定。

この事例について、二つのテーマを設定しました。

① この事例では、今後どのようなことが起こる可能性があると思いますか?

② そのことを踏まえて、ケアマネジャーとして今できること・考えておきたいことは何ですか?

単に問題点を挙げるだけでなく、将来起こり得ることを予測し、今の段階で何ができるのかを考えていただくことを目的としました。

各グループから出されたさまざまな意見

グループワークでは、それぞれの立場や経験を踏まえた多くの意見が出されました。

父親が亡くなった後の経済的な問題

複数のグループで取り上げられたのが、父親が亡くなった後の長女の生活です。

第7グループでは、経済的な行き詰まりや父親の入院、親亡き後の生活などが挙げられていました。

現在は父親の年金で生活していますが、父親が亡くなれば生活の基盤が大きく変わる可能性があります。

今できることとして、預貯金や毎月の支出を確認すること、生活保護も視野に入れることなど、経済面から具体的に考える意見が出されました。

長女の孤立と今後の生活

長女が父親以外との交流をほとんど持たない状況についても、多くの意見が見られました。

父親が亡くなった後、誰が長女の生活を支えるのか。

本人が支援を求められるのか、そもそもどこに相談すればよいのか分からないまま孤立してしまうのではないか。

親が亡くなった後の暮らしについて、住まいや生活費だけではなく、周囲とのつながりを考える必要があるという視点です。

本人との関係づくりをどう進めるか

ケアマネジャーが長女に会ったことがないという点についても、さまざまな意見が出されました。

すぐに本人と会うことを目的にするのではなく、まず現在の状況を把握し、本人や父親の思いを確認していくことが重要になります。

第2グループでは、情報収集や近隣・親族・友人などとのつながりを把握することについて意見がまとめられていました。

長女がどのような生活を送っているのか、相談できる人がいるのか、父親がどのようなことを心配しているのか。

本人と直接会えていなくても、今できる情報収集や関係づくりを考える視点が見られました。

父親の病状の変化にどう備えるか

父親は末期がんで余命6か月と告げられており、今後、介護状況が変化する可能性があります。

父親の病状が悪化した場合、入院や療養先の変更が必要になった場合、長女の生活はどうなるのか。

また、父親自身が残された時間をどう過ごしたいのか、その思いを確認していくことも大切です。

介護を受けている父親への支援を続けながら、長女の今後の生活にも目を向ける必要があるという意見が出されました。

今の段階でできる支援と関係機関との連携

グループワークでは、将来起こり得る問題だけでなく、今できることについても具体的な意見が出されました。

本人や家族の意向を確認すること、生活状況や経済状況を把握すること、親族との関係を確認すること、行政や関係機関と情報を共有することなどです。

また、ケアマネジャーだけで対応しようとせず、障害福祉や生活困窮者支援など、必要な機関につなげることについても考えられていました。

長女本人がすぐに支援を希望しなくても、父親への支援を続けながら、将来に向けた準備を進めておくことが大切になります。

8グループの発表を通して

グループワークの後には、各グループが検討した内容を発表しました。

広島県三次市で開催された8050問題に関する合同研修会。グループワークで検討した内容を代表者が発表し、参加者が発表を聞いている様子。
グループワークでの発表の様子
広島県三次市で開催された8050問題に関する合同研修会。各グループの代表者が検討内容を発表し、会場の参加者が耳を傾けている様子。講師はZoomを通じて発表を共有し、講評を行った。

今回の発表では、経済面を重視する意見、父親の病状や介護の変化に目を向ける意見、長女の孤立や親亡き後の生活を心配する意見、本人との関係づくりや関係機関との連携を考える意見など、多様な視点が示されました。

同じ事例であっても、どこに着目するかによって考える問題や支援は異なります。

そして、それぞれの視点を合わせることで、世帯全体の状況がより具体的に見えてきます。

今回のように、介護・福祉・保健・行政など、異なる立場の方々が一緒に事例を考えることには、大きな意味があると感じました。

広島県三次市で開催された8050問題に関する合同研修会。グループワークで第1~第4グループが話し合った、親亡き後の生活や経済的困窮、家族関係、今できる支援などの意見をまとめた発表用紙。
第1~第4グループの検討結果
広島県三次市で開催された8050問題に関する合同研修会。第5~第8グループが、親の入院や死亡後の生活、経済的困窮、本人の孤立、今できる支援や関係機関との連携について話し合い、意見をまとめた発表用紙。
第5~第8グループの検討結果

ケアマネジャーが一人で抱え込まないために

今回の研修では、8050問題への対応について、次の流れをお伝えしました。

気づく → 情報を整理する → 必要な機関につなぐ

そして、すぐに支援につながらない場合でも、今できることや再相談する条件を確認しておくことが大切です。

親の担当ケアマネジャーになったからといって、同居する子どもの支援まで一人で背負う必要はありません。

8050問題は、介護だけでなく、障害福祉、生活困窮者支援、保健・医療、地域福祉など、さまざまな分野の連携が必要になる問題です。

今回の研修の最後には、健康推進課、障害者支援センター、生活支援課、北部保健所など、関係機関からの情報提供も行われました。

地域の中でどのような相談先があり、どのような支援につなげられるのかを知ることも、ケアマネジメントにおいて大切なことだと思います。

研修を終えて

今回の研修では、8050問題の基本的な理解から、介護現場での気づき、本人・家族への関わり方、そして関係機関との連携についてお話ししました。

また、グループワークでは、父親の余命が限られた中で、長女の将来の生活をどのように考え、今何ができるのかについて、参加者の皆さんに具体的に検討していただきました。

各グループの発表からは、経済的な問題、親亡き後の生活、本人の孤立、家族の意向、関係機関との連携など、さまざまな意見が出されました。

8050問題は、すぐに答えが出せる問題ばかりではありません。

しかし、今すぐ解決できないからといって、何もできないわけではありません。

世帯全体の生活を捉え、将来の変化を予測し、今できることを一つずつ考えていくこと。

そして、支援者が一人で抱え込まず、地域の関係機関とつながりながら支えていくことが重要だと考えています。

今回の研修が、日々の実践を振り返り、多職種・関係機関での連携を考えるきっかけとなれば幸いです。

ご参加いただいた皆さま、研修の機会をいただいた関係者の皆さま、ありがとうございました。

研修概要

研修名: 令和8年度 居宅介護支援事業所・地域包括支援センター合同研修会

講師依頼元: 社会福祉法人 三次市社会福祉協議会 三次地域包括支援センター

開催日: 2026年10月23日(金)

開催時間: 13:30~15:15

会場: 広島県三次市 三次市福祉保健センター 4階ふれあいホール

研修テーマ: 介護サービスで出会う8050問題と対応の基本

参加者: 40名(ケアマネジャー、社会福祉士、保健師、看護師、広島県・三次市職員、社会福祉協議会、障害者支援センター関係者など)

開催形式: Zoomによるオンライン講義・講評、会場でのグループワーク

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ぽっか

ケアパワーラボ代表|介護・福祉防災研究所
主任ケアマネジャー・社会福祉士・防災士(日本防災士会員)
【講師・研修実績】
・芝地域包括支援センター主催「芝地区防災講座」(2026年10月)
・戸塚西地域包括支援センター主催「民生委員向け高齢者防災講習」
・三次市社会福祉協議会 三次地域包括支援センター「介護サービスで出会う8050問題と対応の基本」研修講師(2026年10月・オンライン)
・株式会社七曜会様ほか、介護事業所を対象にBCP研修・防災研修を実施
【保有資格】
主任ケアマネジャー/社会福祉士/防災士/防火防災管理者/鍼灸師/食品衛生責任者
鍼灸治療院、デイサービス相談員、ケアマネジャー、医療相談員(MSW)を経て、現在は主任ケアマネジャーとして活動
介護・医療・福祉現場で10年以上の実務経験を持ち、介護事業所や地域を対象としたBCP研修・防災研修・福祉防災の講師活動を行っている。
※監修・記事協力・研修依頼のご相談は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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