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この記事の一番最後にあるよ!

今回は介護現場でもよく耳にする「パーキンソン病」について病気の特徴などを中心に学んでいこう!!
パーキンソン病とは

パーキンソン病とは脳のドパミン神経細胞の障害によって発症する神経の変性疾患です。
運動症状のみでなく、精神症状も見られます。
発症年齢は50〜65歳に多いですが、40歳以下で発症する場合もあります。
日本では人口10万人あたり100〜150人で女性が1.2〜1.8倍多いとされています。神経内科領域の入院原因としては脳血管障害・認知症についで多い疾患です。
パーキンソン病とパーキンソニズムの違い
パーキンソニズムとはパーキンソン病とは別の原因により生じるパーキンソン病の症状のことを言います。
脳の病気、脳損傷、薬剤などによって引き起こされます。
パーキンソン病の症状

パーキンソン病で出現しやすい主な症状は以下の4つです。
- 筋肉が固くなる(筋固縮)
- 姿勢やバランスが取りづらくなる(姿勢反射障害)
- 歩きづらくなる・不安定な歩行となる(歩行障害)
- 安静時の震え(静止時振戦)

4つの特徴的な症状のうち、日常生活に支障をきたしやすいのは1〜3の3つだよ。

この症状があると実際にどんな支障が出るの??
- 筋肉が固くなる(筋固縮)
➡︎固くなった箇所が動かしづらくなる!! - 姿勢やバランスが取りづらくなる(姿勢反射障害)
➡︎転びやすくなる!! - 歩きづらくなる・不安定な歩行となる(歩行障害)
➡︎長い距離を歩けない!転びやすい!

パーキンソン病の患者はこういった症状があることで、生活の様々な場面で動作や作業のし辛さが出てしまうんだ。
その他にも
・顔の症状・・・表情が少なくなる
・発話障害・・・小声で早口になる
・動作の拙劣(せつれつ)・・・細かな動作が苦手(服のボタンの留め外しが難しいなど)
・抑うつ
・幻覚・妄想
・睡眠障害・・・不眠、日中の眠気
・自律神経障害・・・便秘、頻尿、夜間多尿
などといった症状が見られることも多くあります。
パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療としては
・薬物療法
・手術療法
があります。
パーキンソン病に使われる薬はいろいろありますが、基本薬はエルドーパとドパミンアゴニストです。
・エルドーパ:運動合併症の発現リスクが高くなる場合がある。
・ドパミンアゴニスト:高齢者や認知症を合併している場合は幻覚・妄想が誘発されやすくなる。
症状の出現程度・治療効果・副作用など総合的にみて薬剤が選択されます。
薬物療法で改善が不十分な運動症状などに対して手術療法を考える場合もありますが、手術療法も症状を緩和する対処療法であり、進行を止める治療法ではありません。

使う薬によって動作に影響が出たり、幻覚・妄想が誘発されたり、いろんな影響があるのね。

それぞれの状況に合わせて薬が選択され、進行に合わせて調整されているよ。
気になることがあれば、受診の際の相談を促すことも必要かもしれないね。
パーキンソン病の予後


パーキンソン病って進行性の疾患なのよね。
生命予後は悪くなく平均余命は一般より2〜3年短い程度です。
寝たきりになってからの合併症に左右され、誤嚥性肺炎などの感染症が直接死因になることが多いです。

症状は左右どちらかの片側の振戦から始まり、両側に進行するんだ。
この段階では日常生活にはほとんど介助は要しません。
その後、姿勢反射障害が見られるようになると転倒が増え、部分的な介助が必要な段階となってきます。
徐々に立ち上がりや歩行に介助を要するようになり、日常生活に全面的な介助を要するようになります。

訪問介護のサービス利用者は姿勢反射障害が見られるようになっている段階のことが多いよ。
パーキンソン病の日常生活への影響


症状がそれぞれ生活のどのような場面で出やすく具体的にどのような問題となるのか、またどのように支援すれば生活しやすくなるのかを考えていこう!
食事
パーキンソン病の患者は筋肉が固くなる症状があると伝えましたが、口の中や舌の筋肉、喉の筋肉も固くなってしまいます。また、姿勢を保つことも困難な場合があります。
結果として
- うまく(早く)噛むことができない
- うまく(早く)飲み込むことができない
- 前のめりになり姿勢が崩れやすい
というような問題が起きてきます。

※特にうまく噛めない・飲み込めないという問題はそのままにすると誤嚥(食べ物が胃ではなく肺の方向に流されること)に繋がる危険があります。
食事の介助方法
食事を柔らかく・細かく調理
誤嚥を防ぐための方法として、食事の形態を柔らかいもの、もしくは細かいものにするという方法があります。
こうすることで、しっかりと噛めなくとも飲み込みやすくなり、誤嚥の危険を減らすことができます。
どの程度の柔らかさ・細かさなら良いのかという判断はリハビリ職が主に得意とするところなので、そのような人たちの助けが借りられる環境なら、助言をもらえると良いと思います。
一口の量を少なくする
スプーンに乗せる量が多すぎると、余計に噛みづらくなるため、あまり盛りすぎないことも工夫の1つです。
ゆっくりと食べる
口の中のものが飲み込まれる前にどんどん口の中に入れてしまうと誤嚥に繋がりやすくなります。
ご自身で食べられ場合はご自身のタイミングで食べてもらうのが良いですが、食事の介護をする場合はしっかりと飲み込まれたことを確認してから次の一口を運ぶようにしましょう。
口腔ケアをする
食事の後は口の中に食べ物の残りがないように、しっかりと口腔ケアをすることが誤嚥性肺炎の予防にもつながります。

誤嚥性肺炎は利用者の予後を左右するものだから注意が必要だけど、食事の楽しみも忘れずに医療職と連携しながら支援していきたいね。
移動(歩行)

パーキンソン病の患者はバランスの取りづらさや歩きづらさの問題で、移動の介助は必要になりやすいです。
特に出現しやすい特徴が
- 足がすくみやすくなり、うまく進めない
- バランスを保てず転倒しやすくなる
このような問題が発生します。
※転倒は骨折や脳振とうなどを起こす可能性もあるため、これらの対処を知っておくことで利用者を安全に介助する事ができます。
移動の介助方法
目印をつける
パーキンソン病の患者の特徴の1つに、床に足を出す位置がわかるような目印などをつけるとすくみ足がおさまりやすくなるというものがあります。
特に歩き始めや方向転換の時、障害物がある時、狭い通路を歩く時などにすくみ足になりやすいので、そのような場所に目印をつけておくと良いでしょう。
リズムを口ずさむ
目印と同様、介助者が歩くリズムを口に出して介助するのも効果的です。
足を出すタイミングがわかるように「1、2、1、2・・・」などの声かけを行いながら歩行介助すると、スムーズに歩けるようになることがあります。
障害物を減らす・広い道を選ぶ
すでにお話したように、パーキンソン病の方の歩きづらさが出現しやすい状況は、障害物がある通路や狭い通路です。
そのため、障害物となりうる物を別の場所に移したり、狭い通路を使わないという方法も良いでしょう。
また、小刻みな歩行にもなりやすので、ちょっとした敷物などでも躓きやすくなるため注意が必要です。
排泄

パーキンソン病の方は排泄に関係する神経にも障害が起きやすく、それに伴う問題が起きてきます。
具体的には
- トイレに行く回数が多くなる
- 回数が多いため、睡眠時間も少なくなる
このような問題です。
※特に夜のトイレは昼間と違い、利用者は眠気のためぼんやりしていることが多く、より転倒の危険が高まりますし、介助量も多くなります。
排泄の介助方法
道具の利用
直接的な介助の方法ではないですが、道具を使うことでより安全に、かつ睡眠時間を確保することができるようになります。
例)ポータブルトイレ、尿瓶など
わざわざ部屋から離れたトイレに行くよりこのような道具を使うことで、介助の負担や時間が軽減し、その分利用者も睡眠時間を確保することができます。
居室の変更
利用者の中には道具を使用することに対して消極的な方もいるかもしれません。
そのような方には、トイレから近い部屋に変更することで、自室からトイレまでの移動距離が減り、移動の際に転倒するという危険も少なくなると思います。
着替え

筋肉が硬くなることで手指の細かな動作が難しくなります。
そのため、ボタンの留め外しが難しいといった問題が生じます。
また、動作がゆっくりで着替えに、以前よりも時間を要します。
着替えの介助方法
着脱しやすい衣類を選ぶ
ゆったりとした衣類やボタンの少ない衣類を選択することで、着替えの時間を短縮することができます。
※時間がかかっても本人ができる部分はできるだけやってもらうことは、自立支援で大切なポイントです。特に着替えは、細かな動作が難しいのですが、肩など大きな関節を動かす機会にもなるので、転倒に気をつけながらできるだけ本人に任せましょう。

ほかにも研修資料がありますのでご利用ください。
薬の影響

パーキンソン病の治療には主に薬物療法となります。
服薬の量やタイミングなど管理が生活の中で、とても重要となるため、抑えておきたいポイントです。

それぞれ現象の名前は難しいけど、薬によってどんな症状が出てくるのか捉えておこう!!
ウェアリングオフ現象
パーキンソン病の基本薬であるエルドーパを何年も続けていると飲んで2〜3時間もすると薬の効果が弱まっているように感じることがあります。
効果が薄れると体が動かなくなる、姿勢が前かがみになる、ふるえが出る、暗い気分になるなど治療前の状態に戻ってしまいます。
1日のうちで薬が効いている時間と効き目が弱い時間をなんども繰り返します。
オンアンドオフ現象
服薬時間とは関係なく急激な症状の軽快・憎悪を起こすこと。
原因はよくわかっていませんが、薬の長期利用で見られ、薬の吸収の問題も考えられています。
ディレイドオン現象
高齢者で薬の吸収が遅くなり、効果の発現も遅くなる現象です。
午前中は全く利かず、午後からは良くなってくるなど。
このようにパーキンソン病は1日の中でも大きく症状が変化する特徴があります。
訪問時にスムーズに動作ができていても他の時間帯では倍以上の時間を要していることがあります。反対に訪問時はとても大変でも、他の時間ではスムーズに動作ができている場合もあります。

サービス担当者間で1日を通してのご本人の様子を共有しておくことがとても重要だよ!ご本人や介助者(ご家族)が大変な時間帯にサービスの時間をずらすなども検討が必要だね。
まとめ
訪問介護事業所においてパーキンソン病を理解し、適切なケアを提供することは非常に重要です。
パーキンソン病の症状や進行状況を正しく理解し、適切な対応を学ぶことで、利用者の生活の質を向上させることができます。
定期的な研修を通じて、新しい知識やスキルを習得し、チーム全体での連携を強化していくことが求められます。
また、利用者やその家族に対する適切な情報提供やサポートも欠かせません。
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【参考文献】
眞野行生:パーキンソン病のリハビリテーション.リハビリテーション医学30 18-21,1993.
中馬孝容:パーキンソン病に対するリハビリテーション.リハビリテーション医学.53 524-528,2016
久永欣哉:パーキンソン病のリハビリテーション.リハビリテーション医学.49 738-745, 2012
