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同行援護ってどういうものなのかしら?
この記事では、視覚障害者に対する同行援護について詳しく説明します。
同行援護とは?
同行援護とは、視覚に重度の障がいを持つ方が外出する際に、移動を支援するサービスなんだ。
同行援護は平成23年10月1日から適用されるようになった新しいサービスで、障害者総合支援法に位置付けられています。
対象は視覚障害により移動に著しい困難を有する方で、概要は以下の通りです。
- 外出時の同行と移動に必要な情報の提供
- 移動の援護(歩行時の手引きなど)
- 排せつや食事の介護
- 代読や代筆
- 他必要に応じた支援
障害サービスの1つとして位置付けられ、全国一律のサービス内容と報酬体系となっています。
外出時の不安を和らげ、より自由に移動できるよう支援するのが同行援護の大きな役割です。
一方で、同行援護の対象にならない方は市町村の移動支援サービスを利用することになります。
移動支援は自治体の独自のルールに基づいて行われています。
同行援護のサービスを行うためには、指定基準を満たした上で各都道府県に届けをした後、知事の指定を受ける必要があります。
指定基準には
- 人員基準
- 設備基準
- 運営基準
これら全てを満たす必要があります。
ヘルパーが同行援護を行うためには
- 同行援護従業者養成研修(一般課程)を修了すること。
- 居宅介護の従業者要件を満たし、かつ視覚障害者の福祉に関する事業で1年以上の実務経験があること。
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院の視覚障害学科の教科を履修すること。または、厚生労働大臣が同等と認める教育を受けること。
上記の要件のうちどれか一つを満たす必要があります。
視覚障害とは
視覚障害ってそもそもどういう状態なのかしら?
視覚障害は大きく分けると2つあるよ。
視覚障害とは、視機能が低下もしくは消失した状態のことです。
視覚障害は大きく分けて「盲」と「弱視」の2つに分類されます。
- 盲:ほとんど見えないか、全く見えない状態
- 弱視:何かを見ることはできるが、視力が著しく低下している状態
視覚障害には程度の差があり、支援の内容も異なってきます。
「盲」の状態
「盲」とは、明るさや暗さといった感覚を含めた視覚情報を一切、もしくはほとんど得られない状態の人を指します。
この盲の状態では、一般的に視力が 0.02 未満という非常に低い状態にあります。
盲の方にとって、日常生活を送る上で最も大きな障壁となるのは文字情報の取得です。
読み書きは点字を使って行うことになります。
また、移動においても、白杖(はくじょう)や盲導犬を利用して行います。
・白杖
白杖は、目の不自由な人が使う長い杖です。道を歩くときの安全を確保し、周りの人に視覚障害があることを知らせる役割があります。触って障害物を感知したり、音で周囲の状況を把握したりするのに役立ちます。
・盲導犬
盲導犬は、目の不自由な人を助ける特別な訓練を受けた犬です。主人を安全に目的地まで導き、障害物を避けたり、危険を知らせたりします。
視覚による情報が得られないため、学習場面においてもさまざまなハンデを強いられます。
歩行や運動に制限があるため、体力の低下や発達の制限を受けることもあります。
さらに、自分の周りの状況や環境をよく観察して理解することも困難です。
そのため、盲の方は触覚や聴覚、嗅覚などの他の感覚を頼りに、生活を営んでいくことになります。
また触ることのできない物については模型などのレプリカを使ったり、言葉によるイメージを得たりするなどして、情報を得るよう工夫しています。
「弱視」の状態
「弱視」とは、自分の視力で自立した生活をすることができる状態を指します。
しかし、視覚によって得られる情報は極めて少ないのが特徴です。
弱視の方の視力は、眼鏡などの矯正器具を用いても 0.3 未満となります。
近年では、この状態を「ロービジョン」と呼ぶこともあります。
弱視の方は、点字の必要性が低いものの、文字を読むための補助具が必要な場合があります。
白杖などが必要ないため、弱視かどうかの見分けが外からわかりにくいのも特徴なんだ。
※将来的に盲の状態になる可能性もあるため、白杖の使い方や点字を学ぶ人もいます。
弱視の方が抱える具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- ものがぼやける
- 強い光にまぶしさを感じる
- 暗い場所では見えない
- 視野が中心部だけになる
- 視野の中心部だけが見える
これらの症状により、日常生活にさまざまな影響が出てきます。
歩行が不安定だったり、広い視野を必要とする行動に制限を受けたりします。
また、離れた場所にある目的物に近づきにくかったり、物を見るときにしかめたりするようになります。
さらに、光に対して極端もしくは鈍感になったり、読み物に極端に目を接近させたりする習慣が身につくこともあります。
同行援護の具体内容
同行援護はどんなことに注意すればいいの?
色々なことが必要だけど、いくつか紹介するね。
視覚障害者が外出する際、同行援護を行うヘルパーの言葉によって周辺の状況を理解することになります。
視覚障害者が自己判断で行動するためには、ヘルパーの提供する言葉の質と量が重要です。
視覚障害者が必要と思われる情報を客観的に伝え、状況に合わせて声の大きさなどにも気を遣いながら、適宜情報を提供します。
この情報提供では、まず何より安全第一を心がける必要があります。
情報量が多すぎても少なすぎても、視覚障害者の判断を迷わせてしまう可能性があるから、適切な量を心がける必要があるよ。
また、視覚障害者が自分の位置を把握できるよう、現在地を明確に伝えることも重要です。
移動の支援においては、単に安全に目的地に導くだけでなく、外出の楽しみを味わってもらうことも大切です。
触覚や嗅覚などを意識した言葉で、周囲の雰囲気や季節感を伝えることで、視覚障害者にもその場所の特徴を感じてもらうことができます。
また、点字表記がある場所については、その情報も積極的に提供し、視覚障害者に確認してもらうことが重要です。
道路歩行時の援護
視覚障害者が道路を歩行する際には、さまざまな障害物に注意する必要があります。ヘルパーは以下のような点に気を付ける必要があります。
- 水たまり、溝の縁など、転倒の原因となるも
- 障害物に気づいた際は、歩行を停止して路面状況を伝える
- 歩く際は、危険な側に立たせないよう配慮する
- 自転車や看板といった障害物の存在を知らせる
- 歩道の混雑具合や点字ブロックの有無の提示
また何かを伝える時は、視覚障害者に確認を求める言葉をつかいましょう。
視覚障害者自身に意思決定権があることを認識してもらう必要があるんだ。
- 「●●がありますので、ゆっくり歩いていいですか?」
- 「●●で滑りやすくなっていますので、私にしっかり捕まってもらってもよろしいですか」
代読
視覚障害者への支援の一つとして、代読があります。
代読を行う際は、
・はっきり聞き取れる言葉
・読み間違いをしない
ことが重要です。
同音異義語がある場合は、言葉の意味を説明したり、使われている漢字の意味を説明する必要があります。
また、毎回すべての文章を読む必要はなく、視覚障害者に確認をして、文章を要約で伝えればいいのか、全て伝えてほしいのかなど、事前に確認を取ることが大切です。
その際の留意点としては
- 抑揚をつけない
- 感情的な言い回しをしない
- 書いてあることを的確に読む
- ゆっくり、はっきり読む
などがあげられます。
また漢字を読めない場合は、読めないことを伝えた後に、辞書などで調べて正確な内容を伝えるようにしましょう。
字の大きさや色、!や?、『』などの記号なども、正確に伝える必要があるんだ。
代読と似たような業務として、音訳というものも。
音訳は図や表などを音声で伝えることで、代読以上に忠実に内容を伝える必要があります。
ちょっとむずかしそうね。
そのため、代読と比べて、より高度な技能が求められるといえるでしょう。
代筆
代筆を行う際は、視覚障害者本人から代筆の依頼を受けてから行うことが重要です。勝手に代筆をしてはいけません。
代筆をした場合は、文章の最後に「(代筆)」と入れる必要があります。そして、書き終わった後は、必ず読み上げをして視覚障害者の確認を取ります。
サインが必要な場合は、視覚障害者本人の自筆である必要があります。
ヘルパーは、視覚障害者に紙の位置や文字の指示などを行い、筆記のサポートを行うことになります。また、サインガイドの使用支援なども行います。
丁寧な文字を心がけ、誤字脱字がないよう注意を払わないとね。
さらに、書類内容を事前に読み上げて、視覚障害者に確認をとることも大切です。
特に、内容がプライバシーに関わるような場合は、読み上げ時の声の大きさに配慮する必要があります。周囲の人に聞かれないよう、適切な声の大きさで行う必要があるのです。
同行援護の心構え
視覚障害者をただ支援すればいいわけじゃないのよね。
不要な援護は、余計な負担になるんだよ。
視覚障害者への同行援護を行う際には、いくつかの心構えが大切です。
まず何より、「押しつけ」にならないよう注意しましょう。不必要な援助や、視覚障害者の意思を無視することは厳禁です。
視覚障害者と一口にいっても、年齢や性別、健康状態、価値観など、それぞれ違いがあります。そのため、視覚障害者一人ひとりにあった援助を申し出る必要があります。
また、視覚障害になった経緯なども、人それぞれ異なります。その人の健康状態を事前に知っておき、いざという時に適切に対応できるようにしておくことも重要です。
同行援護を行う中で、さまざまな視覚障害者の個人情報を得ることになります。これらの情報は絶対に外部に漏らしてはいけません。
まとめると、以下のような点に気をつける必要があります。
- 「押しつけ」にならない援助を心がける
- 一人ひとりの特性を理解し、それに合わせた支援を提供する
- 健康状態などの情報を把握し、緊急時に活用できるようにする
- 得た個人情報は絶対に外部に漏らさない
このように、同行援護では、視覚障害者一人ひとりの特性や事情を理解し、それに寄り添うことが重要です。ヘルパーの適切な対応が、視覚障害者の自立と社会参加を支えることにつながるのです。
ほかにも研修資料がありますのでご利用ください。
まとめ
視覚障害者への同行援護については、幅広い支援内容が求められます。
視覚障害者にとって外出などする際には、ヘルパーの提示する情報がとても重要な役割を果たします。
視覚障害者の安全を守ると同時に、社会参加に積極的に参加できるようしっかりと同行援護の内容を身につけてくださいね。