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参考資料:中央法規 強度行動障害のある人の「暮らし」を支える
この研修内容はPDFとして簡単に印刷できるから社内研修の時に使ってね。
この記事の一番最後にあるよ!
今回は強度行動障害について学んでいきましょう。
強度行動障害とは?
強度行動障害とは、自閉スペクトラム症や知的障害のある人に多く見られる特徴的な行動や症状のことです。
もともとの障害ではなく、その人の特性と周囲の環境や関わりとのミスマッチが大きいことによって現れます。
どうゆう事??
例えば、コミュニケーションが苦手なのに、人の集まる場所に行かされたりするとミスマッチとして問題行動が出てしまうんだ。
そうなのか~問題行動ってどんな感じなの??
自分や周りの人の生活に支障がある行動を、起こしてしまう事をいうんだ。
例えば、強度行動障害になると、
などというような行動を起こします。
赤ちゃんが、意思を伝えられないから、ものを叩いたり、大泣きしたりするような感じと同じだね。
間違うと、大きな怪我や死に至るような危険な行動に発展してしまう事も。
その為、強度行動障害では何らかのサポートが必要な状態になります。
また、中学生や高校生の思春期に発症者が多く、卒業すると症状が軽くなる人もいます。
家庭で通常の育て方をして、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態である。
引用:「強度行動障害がある人 あなたはどんな人をイメージしていますか?」(厚生労働省)
強度行動障害になりやすい人
どんな人がなりやすいの?
が、強度行動障害になりやすい人と言われています。
アスペルガー症候群についての記事はこちら⇓
強度行動障害になるまでの流れ
①コミュニケーションが苦手で、自分の気持ちを言葉でうまく伝えられないことから、ストレスが溜まる。
⇩
②自分の中のもどかしい思いや気持ちを誰かに伝えるために、強度行動障害の症状が行動として出始め、どんどん加速していく。
いつの間にか自分の手には負えない状況になり、人や物理的な支援が必要な状況となってしまうんだ。
強度行動障害には意味がある!
なぜそのような行動をするのか?を分析することが、どのような支援をすればよいか?ということに繋がります。
強度行動障害は自分の伝えたいことができない場合に、とっさに行動に出てしまいます。
言葉で話して相手に伝えられればいいのですが、それができないために相手に危害を加えるなどの行動に出るのです。
つまり、コミュニケーションの仕方を正しく学んでいない。もしくは、誤学習(間違った覚え方)のために、強度行動障害が生まれてしまうのです。
強度行動障害の代表的な4つの行動と意味
強度行動障害には代表的な4種類の行動とその意味があるんだよ。
強度行動障害を持つ人の行動には何らかの意味が隠されています。
「何をしたくて、もしくはして欲しくて行動しているか」が分かれば、強度行動障害を抑制するきっかけにもなります。
では見ていきましょう。
物や活動の要求
これは自分の欲しい物を手に入れたいという要求です。
わめく、泣き叫ぶなどの激しい行動を起こし、最終的に相手を諦めさせて手に入れてしまいます。
物が手に入るまでは、激しい行動や危険な行動が続くことがあります。
注目の要求
誰かに見ていて欲しい、見守っていて欲しいという要求です。
そのために大きな声を出したり、自分や他人を攻撃したりします。
自分が注目を浴びることで、行動が収まります。
逃避の要求
やりたくないことや、その場の雰囲気の状況が嫌で逃げ出したい時に起こる要求です。
こちらに関しても、大きな声で泣き叫んだり、相手を攻撃したりと、色々な行動に出ます。
奇声をあげる、大声でどなる、暴れて手がつけられないということもしばしばあります。
感覚刺激の要求
長時間やることがない、何をして良いか分からない状態が続く際に起こります。
どうしていいのか分からない手持ち無沙汰な状態なので、髪の毛を抜く、自傷行為をして自分の感覚や刺激を確かめる行動です。
痛みや触感などがあると、落ち着く場合があります。
子供の頃の学習も原因のひとつ
このような状態は子供の頃の学習も原因の一つと言われているんだよ。
生まれてから今まで、私たちはたくさんの人と出会い、たくさんの行動を身につけます。
その経験の中で学び、今までの行動を改善したり、新しい行動を覚えたりします。
経験から学び行動に移すことを『学習』と言い、強度行動障害は行動をする環境が大きく影響しています。
身につけていない
環境に合わせた行動を身に着ける能力があるのに、親や先生などの周りの人の理解がない、環境が整っていないなどの理由で、正しい行動が身に着けられなかったことを指します。
そのまま放っておくと、正しい行動を身につけないまま成長してしまうことになります。
大人になっても、臨機応変にその場に応じて行動や対応ができない、自分の心にあるものを言葉でうまく伝えられないなどの状態になります。
そうすると、それを表現するために、強度行動障害の例にあるような問題行動を起こしてしまうことに繋がります。
まちがった身につけ方
【身につけられなかった】まま成長すると、自分なりの方法で気持ちや考えを伝えようとします。
「どういう行動をとったらよいか」が分からないため、危害を加える、物を投げたり壊したりするなどの激しい行動に出ます。
周りは支障が出てしまうので、仕方なく強度行動障害になっている人を全て受け入れてしまう行動や言動をしてしまいます。
行動はエスカレートして、いつでも自分の意志を伝える時には激しい行動をとればいいのだと思ってしまうのです。
これが【まちがった身につけ方】です。
周囲の誤った対応からも、激しい行動が定着してしまうこともあるんだ。
困っているのは誰?
出典:中央法規 強度行動障害のある人の「暮らし」を支えるを改変
図のように、ショッピングモールに支援者と一緒に来た自閉スペクトラム症のA君が、たまたま通りかかったB君を突然押してしまいました。
困っているのは誰でしょう??
突然押されたB君?
スタッフ?
いいえ、実はA君も困っています。
この図の中では全員が困っている状態なんです。
こういった気持ちを、言葉でうまく伝えることができないんだ
これは、強度行動障害の4つの行動のうち逃避の要求になります。
それでは実際に、強度行動障害を予防する方法はあるのでしょうか?
強度行動障害を予防するには
観察が大事
例)
自宅にいるAさんが自分の頭を強く叩いてしまった為、外出をさせたらAさんは自傷行為をやめた。
A) 自宅にいる
⇩
B) 頭を叩く
⇩
C) 外出ができる
頭を叩くことで、外出ができるという要求の手段になってしまったんだね。
この観察はABC分析と言って
A:行動前の刺激や出来事
B:行動
C:行動の結果
の3つの要素から考え、その行動の機能を分析するという方法です。
適切な行動に置き換える
この観察の結果、対応策の一つとして【同じ意味をもつ行動を教える】ことがあげられます。
散歩のカードを用意し、外出したい場合にそのカードを指差してもらうなどです。
このような事からも行動の観察がとても重要なんだ。行動の観察記録をつけることも有効だよ。
支えるための5つの原則
出典:厚生労働省「強度行動障害のある人を支えるための5つの原則」
強度行動障害のある方が落ち着いて過ごせるための要件が5つあるんだ。
安定して通える日中活動
強度行動障害のある方は、安定した活動、安定した日課がとても重要といわれています。
その為、本人が落ち着く場所に通える環境を整え、上記活動が行える事が望ましいと言われています。
居住内の物理的構造化
明るさや音の刺激に過敏になる人が多いため、自宅など部屋の明るさや音の刺激を調整する対策も必要です。
その環境によって気持ちの安定につながります。
ひとりで過ごせる活動
気持ちを整えたり、楽しんだりできるという意味で、一人で過ごす時間を確保させてあげることも大切です。
一人で過ごせるスペースと、楽しめる活動を準備してあげる必要があります。
確固としたスケジュール
繰り返しの日課や繰り返しの活動を行うことで、強度行動障害のある人は安心感を得ます。
また、日程の変更がある場合には、パニックにならないように事前に伝えることも重要です。
移動手段の確保
外出時には交通手段にも気を付けなければなりません。
強度行動障害のある人にとって、外出時の刺激や変化でパニックになる方が多い為、移動中に刺激を受けずに安心して利用できる手段を確保することも大切です。
また、強度行動障害のある人への対応は、障害福祉サービスを活用しながら対応していく事も家族・本人にとって重要となってきています。
強度行動障害のある方への在宅での支援
強度行動障害のある方への在宅での支援サービスはどんなものがあるのかしら?
強度行動障害のある方への支援としては、自宅で受ける支援、移動をサポートする支援などがあります。これらを強度行動障害のある方の状態に合わせて組み合わせながら利用していきます。
在宅で受ける支援
行動援護
自傷などがあり行動の際に援助を必要とする人に、行動に伴う危険を回避するための援護や外出の際の支援をおこないます。
行動援護の仕事に資格は必要ですか?
行動援護従業者養成研修を履修する必要があります。
資格については下記の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。
重度障害者等包括支援
重度の障害があり多くの種類の支援が必要な人に対し、居宅介護、行動援護など包括的なサービスを提供するサービスです。
重度訪問介護
重度の障害がある方に対して、身体介護、家事援助、外出時の移動の支援などを総合的に提供します。
その他
家族を休ませる目的としてショートステイなども利用できます。
施設での支援サービスとしては、ショートステイやグループホームがあります。
ほかにも研修資料がありますのでご利用ください。
まとめ
強度行動障害は、私たちが感じにくい細かな刺激や感覚過敏に対してのストレス・物や活動の要求などから生じるものです。
強度行動障害が見られる場合には、本人は「何らかの困りごとがある」ということ。その根本的な問題に働きかけていくことが非常に重要です。
強度行動障害の人に対し、適切な環境と理解ある対応で症状が少しでも緩和されるよう、周囲の人や障害福祉・医療などの専門家と対処方法を考え、彼らの生活を支えることが求められています。
この研修内容はPDFとして簡単に印刷できるから社内研修の時に使ってね。