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この記事の一番最後にあるよ!
参考資料:厚労省「職場内虐待防止研修用冊子」よりhttps://www.mhlw.go.jp/content/000686501.pdf
ほかにも研修資料がありますのでご利用ください。
障害者の人数
「令和3年 障害者白書」によると、日本の障害者の人数は964万7千人です。
その内訳は、
身体障害者436万人
知的障害者109万4千人
精神障害者419万3千人
となっています。
参考資料:内閣府「障害者白書」 https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r03hakusho/zenbun/index-pdf.html
障害者虐待防止法とは
障害のある方の尊厳を守り、虐待を防ぐための法律です。
すべての障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有します。
人間の尊厳は生きていくうえで最重要の概念となります。
尊厳のない状態とは、みじめな思いが強要される状態の事をいうんだよ
障害者虐待の3種類
障害者虐待の3種類をみていくよ
養護者による虐待
養護者とは、障害者の家族、親族、同居人等が該当します。
また、同居していなくても、身辺の世話をしている親族・知人等が養護者に該当する場合もあります。
障害者福祉施設従事者等による虐待
「障害者福祉施設従事者等」とは、「障害者福祉施設」又は「障害福祉サービス事業等」に係る業務に従事する者を指します。
使用者による虐待
「使用者」とは、「障害者を雇用する事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者」を指します。
5つの虐待の行為
虐待には5つの種類があります。
身体的虐待
障害者の身体に外傷が生じたり、正当な理由なく障害者の身体を拘束等すること
性的虐待
障害者にわいせつな行為等をすること
心理的虐待
障害者に対する著しい暴言や心理的外傷を与える言動等を行うこと
放置・放棄(ネグレクト)
養護者等が障害者を長時間放置する等養護を著しく怠ること
経済的虐待
養護者又は障害者の親族が当該障害者の財産を不当に処分等すること
通報する義務
障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した人は市町村等へ速やかに通報する義務があります。
また疑いの段階でも通報の義務があります。
ただし、使用者による障害者虐待の場合は、市町村とともに都道府県も通報先になります。
上司や管理責任者に報告したにもかかわらず、通報がされなかった時には必ず自ら通報しましょう。
通報をしないでいると利用者への虐待が悪化していくだけでなく、虐待した職員やその施設、事業所、責任者への責任問題も悪化していきます。
その為虐待の早期発見、早期通報はとても重要視されています。
通報はすべての人を救います
利用者の被害を最小限に食い止める事ができる
虐待した職員の処分や刑事責任、民事責任を最小限で留める事ができる
理事長、施設長など責任者への処分、民事責任、道義的責任を最小限で留める事ができる
虐待が起きた施設、法人に対する行政責任、民事責任道義的責任を最小限に留める事ができる
引用 厚労省「職場内虐待防止研修用冊子」https://www.mhlw.go.jp/content/000686501.pdf
身体拘束とは(厚労省の定義)
どうなると身体拘束に該当するのかな?
身体拘束とは、一時的に身体を拘束し、行動の制限を行うことを指します。
身体拘束とは、徘徊・他人への迷惑の予防のために、身体的自由を奪うことです。
厚生労働省は身体拘束を以下のように定義しています。
「衣類又は綿入り帯等を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいう」
引用 厚生労働省精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十六条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める行動の制限https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80135000&dataType=0&pageNo=1
身体拘束はなぜダメなのか?
身体拘束を実施すると、一時的に安全を確保できるかもしれません。しかし、障害者の生きる意欲や尊厳を失わせてしまうことに注意していかないといけません。
身体拘束をすることでもたらされる弊害を解説していきます。
身体拘束による弊害
身体的弊害
身体拘束によって、身体的な弊害がもたらされます。
これは、拘束をすることで関節が固まってしまう、拘束することで動けない状態となり筋力が低下してしまうなどの身体機能の低下が考えられます。
長時間拘束されると、身体を自由に動かせなくなります。
体を動かさない事から食欲が減退したり、感染症のリスクが高まったりする可能性もあります。
精神的弊害
身体拘束をすることで、不安や屈辱、諦め等の精神的苦痛、さらに人としての尊厳をも侵してしまいます。
身体拘束は本人に与える精神的苦痛だけでなく、その家族にも多大な精神的苦痛をもたらします。
戸惑いや不安ばかりが増すため、精神的苦痛はさらに大きなものとなります。
身体拘束を認める3要件
障害者個々の心身の状況を勘案し、疾病・障害を理解した上で身体拘束を行わないケアの提供をすることが原則です。
しかしながら、以下の3要件すべてにあてはまる状態にある場合に、必要最低限の身体的拘束を行うことはやむを得ないとされています。
一時性 あくまで一時的であること
切迫性 命や身体に危険が発生する可能性が高い
非代替性 他に方法がない状態であること
特例で身体拘束を行うときは、上記3つの条件をすべて満たす必要があります。
しかし要件があてはまったからと身体拘束をしてもいいというわけではなく、行動を制限しない方法で可能な選択肢を常に探していく事が求められます。
緊急やむを得ず身体拘束を行う場合は十分には、上記三要件に当てはまったうえでさらに手続きが必要になります。
三要件に当てはまっていてもスタッフの一人の判断で勝手に拘束をする事はできないんだ。
虐待防止委員会などにおいて組織として拘束を決定する必要があります。
⇩こちらを参考にしてください⇩
身体拘束を行う場合には、さらに個別支援計画に身体拘束の態様及び時間、緊急やむを得ない理由を記載します。
ここでも、利用者のニーズに応じた個別の支援を検討することが重要となってきます。
また本人や家族に対して拘束する目的、時間(または期間)理由について説明し同意が必要となります。
身体拘束を行ったときはその様子や時間、状況など経過記録をしていきます。
≪行政への相談・報告≫
行動制限・身体拘束をする場合、行政に相談・報告も必要となります。
身体拘束禁止の対象となる具体的な行為
身体拘束となる具体的な行動として、11項目が挙げられます。下記のような行為がないかをチェックしてみましょう。
1 徘徊などの予防として、ヒモを使ってベッド・車椅子などに胴・手足を縛る
2 転落を防ぐため、ヒモを使ってベッド・車椅子などに胴・手足を縛りつける
3 ベッドの周囲を柵で囲むなどして、自力でベッドから降りられないようにする
4 点滴やチューブを自分で抜かないように、手足をベッドなどに縛りつける
5 点滴やチューブの抜き取り、あるいは皮膚のかきむしりを防ぐため、ミトン型の手袋をかぶせて指を動かせないようにする
6 車椅子・いすからの転落や立ち上がりを防ぐため、ベルト・テーブルをつけて車椅子・椅子に縛りつける
7 自力で立ち上がれる高齢者を、座面が大きく傾いている椅子に座らせるなどして、立ち上がるのを妨害する
8 衣服やおむつを脱ぐのを防ぐため、自力では着脱が難しい衣服を着せる
9 周囲に迷惑をかけないように、ヒモを使ってベッドなどに胴・手足を縛る
10 落ち着かせるために向精神薬などを過剰に使用し、強制的に安静にする
11 鍵のかかった部屋など、自力で脱出できない部屋に閉じこめる
引用 厚生労働省【身体拘束ゼロの手引き】
5つの基本的ケアの理解
身体拘束をしないためにはまず身体拘束が必要な状況を作り出さないことが重要です。
そのためにはまず以下の5つの基本的ケアを利用者一人一人の状態に合わせ適切に行っていく必要があります。
5つの基本的ケア
起きる
人間は座っているとき、重力が上からかかることにより覚醒する。
目が開き、耳が聞こえ、自分の周囲で起こっていることがわかるようになる。これは仰臥して天井を見ていたのではわからない。
起きるのを助けることは人間らしさを追及する第一歩となります。
食べる
人にとって食べることは楽しみや生きがいであり、脱水予防、感染予防にもなり、点滴や経管栄養が不要になる。
食べることはケアの基本となります。
排泄する
なるべくトイレで排泄してもらうことを基本に考える。オムツを使用している人については、随時交換が重要です。
オムツに排泄物が付いたままになっていると気持ち悪く、「オムツいじり」などの行為につながることになります
清潔
きちんと風呂に入ることが基本です。
皮膚が不潔なことがかゆみの原因になり、そのために大声を出したり、夜眠れずに不穏になったりすることになります。
皮膚をきれいにしておけば、本人も快適になり、また、周囲も世話をしやすくなり、人間関係も良好になります。
活動
その人の状態や生活歴に合った良い刺激を提供することが重要となります。
具体的には、音楽、工芸、園芸、ゲーム、体操、家事、ペット、テレビなどがあげられます。
言葉による良い刺激もあれば、言葉以外の刺激もあります。いずれにせよ、その人らしさを追及するうえで、心地よい刺激が必要となります。
引用:厚生労働省【身体拘束ゼロの手引き】
まとめ
すべての障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利がある。
障害者虐待の3種類には養護者による虐待・障害者福祉施設従事者等による虐待・使用者による虐待がある。
5つの虐待の行為には身体的虐待・性的虐待・心理的虐待・放置・放棄(ネグレクト)・経済的虐待がある。
障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した人は市町村等へ速やかに通報する義務がある。また虐待の疑いでも同様。
身体拘束を行うときは、3つの条件(一時性・切迫性・非代替性)をすべて満たすだけでなく、虐待防止委員会などにおいて組織として拘束を決定する必要があり、また本人家族の同意も必要となる。
身体拘束をしないためにはまず身体拘束が必要な状況を作り出さないことが重要となる。