※本ページはプロモーションが含まれています。ご了承ください
有休を取らせてもらえない!?
こんにちは、ダンテです。今回、なかなか理解が難しい労働法をできるだけわかりやすく解説してみました。
私はケアマネジャーとして働いていますが、社会保険労務士の試験に合格しています。登録をしていないので、「社労士試験合格者」の肩書になります。資格を取るきっかけになったのは妻のある一言がきっかけでした。
「職場で法事に出席したいから上司に有休を取りたいって言ったらダメだって。人手不足だからしょうがない、有給を取りたいなら、代わりの職員を手配しないとダメって言われた!」
「人手不足だからしょうがない・・・」の言葉になにか府に落ちない気持ちになりました。当時、デイサービスの管理者をしており、大学で少しだけ法律を学んでいた私は・・・あれ、たしか有休は会社がダメとは言えないのでは?・・・との疑問が浮かんだのです。
確認のためネットで調べると、「基本的には拒否はできない」「業務に多大な支障が出るなどの理由が必要」とか「有休を取らせる時期は変更できる」等の言葉が出てきました。
妻の職場のことなので、あまり深くは聞かずに
「しょうがないね、でも有休は原則取らせないとダメなんだよ」
と伝えて終わりしました。
労働に関する法律を理解することの必要性について
さて、これがいざ有休を取る職員でなく管理者(自分)の立場であればどうでしょう?有休を取ろうとした職員の家族に私のような(労働法に関する)知識がある人が居たとすれば・・・。
「どうして妻(夫、子ども)の有休を取らせないんだ!!」
と会社に電話がかかってきたとしたら・・・。
「労働基準監督署に電話してやる!!」
と職員やその家族に言われたとしたら・・・。考えただけでも恐ろしくなりました。
最初は自分の管理者という立場を守るために「労働に関する法律」の知識を身につけようと、すきま時間に勉強を始めました。
ユーチューブとテキストで本格的に社労士の勉強を始め、その後、なんとか2度目の挑戦で合格することができました(勉強時間をカウントするアプリで計1000時間を超えていました)。
社労士の勉強を通じて、労働に関する法律と介護現場に存在する「実際の現場と建て前?」が理解できるようになりました。
労働法についての本や資料はたくさんありますが、サ責や経営者向けに実際の仕事に役立ちそうな基本中の基本だけを厳選して作成してあります。
このページを通して少しでも管理者としてのリスクを減らしてもらえればと思います。
労働法とは
労働法という法律はなく、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法、労働契約法などをまとめて労働法と呼んでいます。弱い立場である労働者の権利を守るための法律です。
労働法と民法では労働法が優先し、労働法に規定のないものは民法が適用されます。
民法:人と人との間での日常の生活全般において適用される法律
労働基準法とは
会社が守らなくてはいけない最低限の労働条件を定めた法律のことをいいます。
普通、会社に採用されるときには、会社と職員とでどんな内容で仕事をするのか、給料などの労働条件について話し合って決めていきます。しかし、会社が有利な立場で条件を決められてしまうことが多いのが現状です。
そのため、労働基準法で契約時に最低限の条件(ルール)を定めることで職員を守っています。その他、賃金や労働時間や休憩などについてルールを作って、それに違反した場合には会社にペナルティを設けて職員を保護しています。
仕事に関する法律の内容を知っていることは経営者(管理者)、職員ともに自分の権利を守るための武器にもなります。
労働基準法では労働者であれば、正社員やアルバイトなどの名前にかかわらず適用されるものです(会社の代表権を有する代表者、業務委託契約で働く個人事業主などは除く)。
労働保険とは
労働者が一人でもいれば原則、加入しています。
労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」(加入条件あり)とのまとめて表すものです。「労災保険」は業務上や通勤時に事故にあったときに適用され、「雇用保険」は退職後の失業時に適用される保険です。
労働時間
1日8時間、週40時間が上限です。
「えっ、8時間以上働いているよ」と思っているあなた。本来は1日8時間、週40時間ですが、この後で説明する「36協定」で時間外労働が可能になっているのです。したがって、職員が残業している会社には必ず「36協定」という書類があります(なければ違法)。
訪問介護で必要な労働時間についての知識
移動時間
移動時間とは、事業場、集合場所、利用者宅の相互間を移動する時間をいいます。
①使用者が業務に従事するために必要な移動を命じる
②当該時間の自由利用が労働者に保証されない
と認められる場合には、労働時間にあたります。
おおむね、「仕事のために必要な移動」で「普通に移動すればかかる時間」であれば労働時間です。
業務報告書の作成時間
業務報告書の作成時間について、労働時間にあたる条件は3つあります。
①作成が業務上義務づけらているものである
②使用者の指揮監督に基づいている
③事業場や利用者宅において作成している
おおむね、仕事で必要な記録の作成時間は労働時間になります
待機時間
待機時間について、労働時間にあたる条件は2つあります。
①使用者が急な需要等に対応するため事業場等において待機を命じている
②その時間について自由利用が認められていない
研修時間
使用者が「必ず参加して下さい」等の明示的な指示に基づいて行われる研修は、労働時間にあたります。明らかな指示がない場合であっても、
①仕事の上で不利益な扱い受ける
②研修内容と仕事との関係が強く、不参加だと業務に具体的に支障がある
①、②どちらか、または両方あてはまる研修の時間は労働時間にあたります。
労働時間の把握
使用者は1~4までの時間のうち、労働時間に該当するものについては、適切に把握する必要があります。把握方法については、使用者が自ら現認(直接時間を確認する)ことや客観的な記録によることが原則です。それが困難な場合であっても自己申告によることとする場合には、必要に応じ実態調査をするなどの措置が必要となります。
したがって、経営者は職員と労働時間でもめた場合には「職員が勝手に働いていた」や「知らない間にサービス残業していた」等の話(いいわけ)は通じません。
休憩
労働基準法では、
1日の労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を労働時間の途中に与える必要があります。したがって、仕事前や仕事後の休憩はNGです。
休憩時間は(他の職員休憩の妨げにならない限り)自由に利用させることが必要です。
外出について
休憩だからどこに行ってもいいでしょう!
基本的には休憩時間の外出は自由です。必要であれば、外出を許可制にすることは可能です。ただし、休憩時間に「会社内での自由」が確保されていることが条件です。
休憩時間の電話番は、待機(手持ち)時間として労働時間となるので注意が必要です。
まとめ
・労働法という法律はなく、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法、労働契約法などをまとめて労働法と呼ぶ。
・労働基準法とは、会社が守らなくてはいけない最低限の労働条件を定めた法律のことをいう。
・労働保険とは、「労災保険」と「雇用保険」(加入条件あり)とのまとめて表す。
・労働時間は、1日8時間、週40時間が上限。
・移動時間、業務報告書の作成時間、待機時間、研修時間は条件がそろえば労働時間になる。
・使用者は、労働時間の把握をしなければならない。
・休憩は、1日の労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を労働時間の途中に与える必要がある。
今回はこれで以上になります。続きは②をご覧になって下さい。
このプログのご利用によって、いかなるトラブルや損失、損害が発生した場合でも管理人は一切責任を負わないものとします。
情報が更新されたり、とらえ方の違いや私の知識や理解不足などの可能性が十分にあります。最終的にはご自身で、監督する行政機関等にご確認頂くようにお願いします。
参考資料:(厚生労働省)「訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/kantoku/041115-1.html